インデックス投資で先進国株を採用している方は多いと思います。
先進国株インデックスの過去30年間の推移を見ると
- 10年で2.6倍
- 20年で4.7倍
- 30年で18.8倍
と右肩上がりで成長しています。
ところで、この成績は予測できていたのでしょうか。
予測できていたとして、現在の成績はどれくらい予想通りだったのかって気になりませんか?
この記事では、先進国株インデックスの正規分布に基づくリターンとリスクを加味した乱数シミュレーションと実績を比較し、現在の成績が良い方だったのか悪い方だったのか平々凡々だったのかを確認しました。
結論を先に言うと、平々凡々に近い成績に収まっていることが分かりました。
今後どうなるかは誰にも分かりません。
もし分かる方は、僕だけにこっそり教えてください!
全ツッパします!
この記事の著者
家計管理大好きブロガー
シデ(@shidebu3)
プロフィール
就職してから15年以上にわたりずっと家計簿をつけています。好きなことはゲーム、家計管理、節約、インデックス投資、アクアリウム、バスケ。日々、楽しく生きるために考え中。セルリアンが妻です。
プロフィール詳細
先進国株インデックスの実績
30年前に先進国株インデックスに連動する投資信託を1000万円買ったとすると、その後の価格推移は下のグラフのようになります(信託報酬ムシ)。
myINDEXの資産配分ツールを利用して求めた値です。
乱数シミュレーションの条件
条件は以下のとおりです。
資産割合
先進国株インデックス100%
リターン、リスク
過去30年間のリターンとリスクとして以下の値を採用しました。
- リターン10.3%
- リスク18.6%
- 期間30年
myINDEXの資産配分ツールを利用して求めた値です。
資産の初期値
1000万円
計算ツール
計算ツールは自分で作ったライフプランシミュレーターです。
ライフプランシミュレーションは収入と支出から収支バランスを把握するのが本来の使い方ですが、収入、支出の項目を0として、最初の貯金、投資額を1000万円と入力します。
収支バランスを0で固定とすることで、資産1000万円のその後の推移をシミュレーションする訳です。
投資のリターンは乱数で毎年変化するので、どうなるのかはあらかじめ分かりません。
分からない代わりに、毎年変化する様子を複数パターン出力することで、結局どんな感じに資産が増えたり減ったりするのか確認するという力技です。
1回100パターン出力できるツールでして、これを10回分、すなわち1000パターン出力しました。
(100パターンだと結果がブレブレでしたw)
おもしろそう、自分でやってみたいと思った方は、厳しめに設定できるライフプランシミュレーション紹介!投資リターンにリスク(標準偏差)を考慮し破産確率を把握しよう!から詳細を追ってみてください。
比較結果
1000ケースの運用結果の中から、以下の年数が経過した時点の資産額に注目します。
- 5年
- 10年
- 15年
- 20年
- 25年
- 30年
また各経過年の資産額の中から、以下の値に注目します。
- 最小値(min.)
- 中央値(1000ケース中、500番目の値)
- 平均値(1000ケースの平均値)
- 最大値(max.)
気になる結果をどうぞ!
経過年数 | min. | 中央値 | 平均値 | max. | 平均値未満 の回数 |
年 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 | 回 |
5 | 329 | 1551 | 1647 | 4528 | 563 |
10 | 358 | 2288 | 2652 | 11691 | 598 |
15 | 234 | 3492 | 4315 | 23244 | 598 |
20 | 248 | 5236 | 7086 | 55713 | 643 |
25 | 248 | 7806 | 11429 | 97335 | 664 |
30 | 559 | 11447 | 18224 | 199067 | 672 |
30年後の運用成績の最大値は20億円近くとなり、縦軸の範囲を大きく引き伸ばしています。
大きすぎる範囲の縦軸のせいで、最大値以外のデータはひと纏まりになってしまい優劣がよく分かりませんw
最大値を除いたデータに注目できるように、縦軸の範囲を2億円に変更したグラフも以下に掲載します。
考察
乱数シミュレーションの結果に関する考察から始めます。
中央値は平均値を下回る
1000ケースの真ん中となる中央値は1000ケースの平均値を下回りました。
真ん中の運用結果なのに平均よりも悪い成績になるとは・・・
平均値を引き上げているのは、最大値やその付近の極端に良い運用成績と考えられます。
もし運よく最大値側の運用成績に寄り付けたなら、平均値を大きく上回る可能性が高いとも言えます。
僕も平均から頭抜けて、夢の20億円ケースに遭遇してみたいですw
年数が経過するほど中央値と平均値の差は広がる
5年、10年目は中央値、平均値の差は控えめだったのに、時間が経つにつれてどんどんその差は開いていきます。
中央値も平均値もどっちも増えているのにその差が開く一方なのは、最大値がさらに馬鹿みたいに増えて平均を引き上げているためと考えられます。
せめて平均値に届けば御の字とか考えてしまいますが、平均値に届くのは相当運が良いケースであると思いませんか?
平均リターンから平均値に近い成績が分かるが、平均値未満になることがほとんど
ところで、今回扱っている先進国株インデックスの平均リターンは10.3%でしたね。
あり得ないことではありますが、平均リターンの値そのままにブレることなく30年間運用できたとすると、どれほどの成績になるのでしょうか。
年間で1.103倍になるのを30年繰り返せばいいんですよね。
1.103^30=18.94
1000万円の18.94倍だから、約1.9億円!
ひゃー!
さて、平均リターンの成績と1000ケースの平均値を見比べると、
- 平均リターンの成績:1.89億円
- 1000ケースの平均値:1.82億円
と、かなり近い値になりました。
平均リターンだから平均値に近くなって当然だろという言い方もできます。
でも、前述したように平均値は中央値よりも良い成績になりがちでしたよね。
平均リターンを基に資産運用やライフプランをしっかり考えているからバッチリ問題ナシ、オールグリーンと思っていた方は、青ざめるかもしれません。
せっかくの機会なので、平均値未満だけどまあまあチャンスがある中央値ベースで計画を練り直すのが良いかも・・・
平均値未満のケース数に注目すると、平均値に届かない頻度は年数が経過するほど高くなっていることからも、長期投資で先を見通したい場合に平均値を使うのはちょっと危ない感じがします。
経過年数 | min. | 中央値 | 平均値 | max. | 平均値未満 の回数 |
年 | 万円 | 万円 | 万円 | 万円 | 回 |
5 | 329 | 1551 | 1647 | 4528 | 563 |
10 | 358 | 2288 | 2652 | 11691 | 598 |
15 | 234 | 3492 | 4315 | 23244 | 598 |
20 | 248 | 5236 | 7086 | 55713 | 643 |
25 | 248 | 7806 | 11429 | 97335 | 664 |
30 | 559 | 11447 | 18224 | 199067 | 672 |
ここで述べたことは他のインデックス投資ブロガーにも検証されています。
例えば以下の記事が勉強になります。
投資信託を長期保有したらどうなるか、20年分のシミュレーション
【モンテカルロ】過半数の人の運用結果は目標複利に達しない可能性【つみたてNISA】
いやぁ、同じ結果になって良かったー。
ドキドキしましたw
次に実績とシミュレーションの比較結果に対する考察に入ります。
実績は中央値を上回ったり下回ったり。平均値超えはあんまりなかった
平均値を超えることは普通ではないのが分かったところで、実績はどうだったのか見てみましょう。
平均値を超えていたのは4~8年目と12~14年目あたりと、かなり限定的に見えます。
注目の中央値を超えていたのはどれくらいかというと、僕の見た感じでは全部で20回くらい、すなわち30年の内、20年は中央値を超えることができたようです。
最大値に近接するのは夢のまた夢?
期待が持てそうなのは、直近5年間では急激に成長し平均値に接近していることです。
この勢いのままに最大値側に寄り付くのか、直近はちょっと上がり過ぎだったから過去の傾きにならされるようにガックシと下がって結局中央値止まりなのか。。。
妄想してワクテカするのはタダなので好きなことが言えます。
まとめ
先進国株インデックスの実績とシミュレーション結果を比較し、以下の傾向が分かりました。
- シミュレーション上は中央値は平均値を下回る
- シミュレーション上は年数が経過するほど中央値と平均値の差は広がる
- シミュレーション上は平均リターンから平均値に近い成績が分かるが、実績は平均値未満になることがほとんどである
- 実績は中央値を上回ったり下回ったりして安定しない。平均値超えはあまり期待できないかも・・・
平均リターンでその後の運用成果を語られることが多い長期投資ですが、現実は甘くないようです。
これまで平均リターンで資産運用の成果を期待していた方は、ちょっと夢を見すぎかもという結果にドキドキしたのではないでしょうか。
僕はこれを知ったときはひっくり返りそうになりました。
個人的には中央値くらいになることを期待して、今後の資産運用とライフプラン作成を進めたいと思っています。
期待値を低めに抑えておくと共に、重要なのは資産の増加、減少の振れ幅、すなわちリスクを抑えることでしょう。
リスクの決め手は資産割合とも言えます。
本ブログの作者の資産割合は、アセットアロケーションから長期リターンのばらつきを把握し、リスクの妥当性を確認しよう!先輩インデックス投資家のお手本も紹介で紹介しております。
ご興味がある方は読んでみてください。
本記事で使用したシミュレーションは厳しめに設定できるライフプランシミュレーション紹介!投資リターンにリスク(標準偏差)を考慮し破産確率を把握しよう!で紹介中!
あなたの運用実績は想定通りに推移していますか?
20年、30年の長期でインデックス投資をされている方は、中央値を超えられましたか?
ぜひコメント欄で教えてください!
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作者プロフィールもご覧いただくと、どんな奴が書いているか分かりますよ。
記事一覧も是非!我々夫婦の執念がこもった記事が盛りだくさんです。
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